アインシュタインが「人類最大の発明」と言ったとも伝えられる複利。
ぼくは公認会計士として、毎日のように数字を扱っていますが、投資の文脈で「複利」ほど強力な概念はないと感じています。
この記事では、毎月1万円を積み立て続けると30年後にいくらになるかを実際に計算しながら、複利の力を体感していただきます。
単利と複利の違い
まず、単利と複利の違いを確認しましょう。
単利とは
最初の元本にだけ利子がつく計算方法です。
100万円を年率5%の単利で運用 → 毎年5万円の利子が発生
10年後:100万円+(5万円×10年)=150万円
複利とは
元本だけでなく、発生した利子にも次の利子がつく計算方法です。
100万円を年率5%の複利で運用
1年後:105万円、2年後:110.25万円、3年後:115.76万円…
10年後:約162.9万円
単利では10年で150万円なのに対し、複利では約162.9万円。この差が長期になるほど広がっていきます。
毎月1万円×30年の積み立て計算
では、毎月1万円ずつ積み立てた場合、30年後にいくらになるのか計算してみます。
年率3%、5%、7%の3パターンで比較します(いずれも月次複利で計算)。
| 年率 | 積立元本(30年) | 30年後の資産額 | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 3% | 360万円 | 約583万円 | 約223万円 |
| 5% | 360万円 | 約832万円 | 約472万円 |
| 7% | 360万円 | 約1,217万円 | 約857万円 |
毎月1万円という「誰でもできる金額」でも、年率5%で30年続けると元本360万円が約832万円になります。運用益だけで約472万円です。
年率7%なら約1,217万円。元本の3.4倍にもなります。
「年率5%」は現実的か?
「年率5%なんて、本当に達成できるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
米国株(S&P500)の過去の長期平均リターンは、インフレ調整後でも年率5〜7%程度とされています。日本の高配当株ポートフォリオも、配当再投資を含めれば年率3〜5%のリターンは十分に現実的です。
もちろん毎年安定してその数字が出るわけではなく、良い年もあれば悪い年もあります。ただし、長期でならしていくと、こうした数字に近づいていくというのが歴史的なデータから読み取れます。
複利を最大化するための3つのポイント
① できるだけ早く始める
複利の計算式で最も重要な変数は「時間」です。
同じ毎月1万円の積立でも、
- 25歳から30年積立(55歳まで)→ 約832万円(年率5%)
- 35歳から20年積立(55歳まで)→ 約411万円(年率5%)
10年の差が、2倍以上の差を生みます。若いほど有利なのが複利の特性です。
② 受け取った配当金を再投資する
高配当株投資では、受け取った配当金をそのまま使ってしまうと複利の恩恵が薄れます。受け取った配当金を同じ株や別の株に再投資することで、複利が加速します。
ぼく自身も、配当金が入ったら原則として再投資しています。「配当金をもらって使う」という段階に移行するのは、ある程度資産が積み上がってからと決めています。
③ コストを最小化する
複利の効果を最大化するには、コストを最小限に抑えることが不可欠です。
仮に毎年のコスト(信託報酬や手数料)が1%かかるとすると、年率5%の運用が実質4%になります。30年後の差は:
- 年率5%(コストゼロ)→ 約832万円
- 年率4%(コスト1%)→ 約693万円
コスト1%の差が、30年後に約139万円の差を生みます。たかが1%、されど1%です。
だからこそ、ぼくは手数料の低いインデックス投資信託や、取引コストの低い証券会社を重視しています。会計士として「見えないコスト」に敏感であることは、投資においても重要なスキルです。
「72の法則」:資産が2倍になる年数の計算
複利の力を直感的に理解するのに役立つのが「72の法則」です。
資産が2倍になる年数 ≒ 72 ÷ 年率(%)
たとえば、
- 年率3%なら:72 ÷ 3 = 24年で2倍
- 年率5%なら:72 ÷ 5 = 約14.4年で2倍
- 年率7%なら:72 ÷ 7 = 約10.3年で2倍
これが複利の「雪だるま効果」です。最初は小さな雪の玉でも、転がし続けることで大きくなっていきます。
NISAは複利の最高の相棒
複利の効果を最大化するには、税金を取られないことが非常に重要です。
通常、配当金や売却益には約20.315%の税金がかかります。これが複利のスピードを落とします。
NISAを使うと、この20%の税金がゼロになります。再投資のたびに課税されないため、複利が本来の速度で機能します。
新NISAでは、年間360万円(成長投資枠240万円+つみたて投資枠120万円)まで非課税で投資できます。毎月1万円の積立なら、つみたて投資枠だけで十分まかなえます。
まとめ:複利は「時間×継続×低コスト」
複利の力をまとめると:
- 時間が長いほど効果が大きい → できるだけ早く始める
- 継続することが最も重要 → 相場が下がっても積み立てをやめない
- コストを最小化する → 信託報酬や手数料の低い商品を選ぶ
- NISA活用で税金を除く → 非課税で複利が加速する
毎月1万円という金額は、決して「大きな投資」ではありません。しかし、30年という時間と複利の力を組み合わせれば、それは立派な資産形成の手段になります。
ぼくがいつも言っていることがあります。「投資に必要なのは、高度な知識でも大きな資本でもなく、早く始めて、長く続けること」です。
今日がこの先の人生で最も若い日です。複利の力を活かすのに、最も良いタイミングは「今」です。

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